不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
 なんて、口では言いながらも内心では兄の優しさがヒシヒシと伝わってきて胸がいっぱいになる。

 そうなんだよね、無理やりお見合いさせられたけれど、それはすべて私の幸せを願ってのこと。

 それにお見合いしなかったら、きっと私はこの先もずっと誰にも出会うことなく仕事に打ち込むばかりだっただろう。

 大翔は上杉のおじさまのお孫さんで、なにより家族みんなにいい印象を持たれている。

 だったら嫌がってばかりいないで、この機会に彼と恋愛できるのか試してみてもいいのかもしれない。

 ちゃんと彼と向き合って、それで好きになれなかったらこの話はなかったことにしてもらったらいい。家族だって納得するだろう。

 そうと決まれば、今度大翔に会った時になにを聞くか考えておかないと。出会ったばかりでお互いのことをなにも知らないし。知らないことには、なにもはじまらない。

 納得したところで急に眠気に襲われ、この日はいつもより早い時間に眠りに就いた。


「いらっしゃいませ、秋元様。本日は帯の新調ということで承っておりますが、他にご入用の物はございますか?」

「そうね……新しい帯締めは入ったかしら」

「はい、ちょうど二日前に入荷したものがございます」
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