不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
 ご贔屓さんの接客につき、ご希望の物を案内していく。ちょうど私が身につけている帯締めがお気に召したようで、色違いで二本購入となった。

「そうだ、桜花ちゃん。来年なんだけどうちの孫が成人を迎えるのよ。ぜひ孫の着物を見立ててくれないかしら」

「それはおめでとうございます。もちろんです、私でよろしければぜひ」

「本当? ありがとう。桜花ちゃんはセンスがいいからどんな振袖を選んでくれるのか楽しみだわ」

 お客様に信頼していただけるのは嬉しいことだが、プレッシャーにもなる。ご満足いただけるものを紹介できるようにしないと。

 その後もお客様はひっきりなしに訪れ、兄と手分けして対応に当たっていく。

 それというのも最近は訪日外国人の多くが着物に興味を持っており、記念に購入していくことが多い。

 学生時代に英語をマスターしておいてよかった。日常会話ならフランス語と中国語もできる。

 兄も英語は話せるが、その他はだめなようで自然と私が対応にすることになる。雪乃さんはイタリア語と韓国語を話せるが、今は産休に入っているため店に立っていない。

 国籍によっては言葉が通じず、その時は翻訳機が重宝していた。
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