不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「いやー、今日もまた客入りが多い日だったな」

「うん、本当に」

 店の閉店作業を終え、戸締りをして自宅へと向かう道中、疲れからは兄も私も口数が少ない。

「雪乃はしばらく店に立てないし、ばあちゃんに週に三回出てもらっているけど、それでも人手は足りないよな。……そろそろ誰かを雇うか」

「それもいいかもしれないね」

 しばらく観光客が途切れることはないだろうし、人手が大いに越したことはない。

「もちろん語学堪能な人を雇ってよ」

「それは必須条件だろう。着物の知識は俺たちが教えられるが、語学だけはすぐに身につかないからな」

 たとえ着物に関しては素人だとしても、接客ができるならかなりの戦力になる。

 帰宅後、食卓の席でさっそく兄は祖母に人を雇ってみてはどうかと相談した。祖母もちょうど考えていたようで、近々求人を出すことになった。雪乃さんも私と兄が大変ではないかと気にしていたらしく、安心していた。

 食事を終え、入浴の順番が来るまで部屋で寛ぎ中、気になってしまうのはスマホ。

 手に取ってメッセージ画面を確認するが、大翔からのメッセージは届いていなかった。

「なにが一日二回は連絡をするよ。……嘘つき」
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