不本意ですが、天才パイロットから求婚されています～お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました～【極甘婚シリーズ】

　呆然となる私に近づいてきた大翔は、膝を折って私の顔を覗き込んできた。

「桜花？」

　返事をしない私を不思議そうに見つめる大翔の顔が至近距離に迫ってきて、思わずのけ反る。

「びっくりした。驚かせないでよ」

「桜花がなにも言わないから心配したんだろ？」

　心配をしたのは私のほうだ。どうして四日間も連絡をくれなかったの？　なぜこうも普通に会いに来られるわけ？

　この前会った時と変わらない大翔に、ホッとしながらもそれを素直に表に出すことができなくて、視線を逸らす。

「心配はしていないけど、怒ってはいる。……どうして連絡してくれなかったの？」

　可愛げのないことを言ったら、大翔は態勢を戻して嬉しそうに目を細めた。

「今日までロサンゼルス便のフライトで、今さっき帰ってきたばかりなんだ。たまたまスマホを家に忘れて連絡ができず、悪かった」

「そう、だったんだ」

　理由に納得すると、感じる視線。その先を辿っていけば、兄と祖母がニヤニヤしながら私たちを眺めていた。

「もう、ふたりともなに？」

　いたたまれずに声をかければ、ふたりとも首を横に振った。