不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「いや、べつに」

「順調に愛を育んでいるようでなにより!」

 口々に言われ、私が否定するよりも先に大翔が話し出した。

「ありがとうございます。では、さらに愛を育ませてもらうために今から桜花とデートをしてきてもいいですか?」

「えっ?」

 突然の話に驚く私を他所に、祖母と兄は勝手に「もちろんよ、連れていってあげて」「桜花、あとは俺とばあちゃんがやっておくから楽しんでこい」なんて言う。

「無事に許可ももらったことだし、行こうか」

 私の了承を得ることなく話を終えた大翔は、そっと私の手を握った。

「ちょっと大翔?」

「早く行こう」

「行こうって……あっ、待って」

 私の返事など聞かず、祖母と兄に見送られて大翔に連れ出されてしまった。

 店の隣にある駐車場に停まっていたのは、黒のスポーツカー。どうやらそれが彼の愛車らしく、助手席のドアを開けてくれた。

 紳士な振る舞いに戸惑いながらも乗ると、すぐに彼も運転席に回って車を発進させた。

「ねぇ、どこに行くの?」

 走り出してすぐに聞くと、大翔は「着いてからのお楽しみ」なんて言って行き先を教えてくれない。
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