不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
 そもそも、なぜ私は彼についてきてしまったのだろう。店を出た時点で手を振りほどけばよかったのに。

どうして言われるがまま車に乗って、行き先を気にしているの?

 チラッと運転する彼を盗み見る。悔しいくらい横顔も整っていて、見惚れるほど。

 本当になぜ望めばどんな相手も振り向いてくれるような彼が、こうも私にこだわるのだろうか。

 その理由が知りたくてジッと見つめてしまっていると、大翔はクスッと笑った。

「そんなに見つめられると、さすがに照れるんだけど」

「えっ? あ、違うから! ただ、その……ほら、さっきフライトを終えたばかりだって言っていたじゃない? 空港から直接うちの店に来たってこと? それじゃパイロットも会社員と同じで通勤はスーツなの?」

 見ていたことに気づかれたのが恥ずかしくて、早口で思いつくままに質問をした。

「いや、車を取りに一度家に帰ったよ。その時に着替えてきた。通勤時はとくに服装は決まっていないから、いつもラフな格好で行ってる」

「そうなんだ」

 聞いたことすべてに応えてくれた大翔は、「他に聞きたいことは?」と言ってきた。

「じゃあパイロットの仕事はどんな感じなの? やっぱり大変?」

 どんな仕事なのか知りたくて聞いてみたところ、ちょうど信号は赤に変わり、大翔は驚いた表情を私に向けた。
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