不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「え? なに? もしかして聞いちゃだめだった?」

 そういえば前にテレビで自衛官は職種によって家族にさえどんな任務に就くのか言ってはいけないってやっていた気がする。パイロットの仕事内容は他言禁止だった?

 不安になっていると、大翔は困惑した様子で話し出した。

「いや、違うんだ。……見合いの前に桜花は飛行機が苦手だって聞いていたかさ。俺の仕事に関して興味を持ってくれたことに驚いて」

 そうだった、祖母は私が飛行機に対する恐怖心があることを伝えたって言っていたよね。それなのに彼の仕事について聞いたら、困惑されてもおかしくない。

「たしかにまだ飛行機に乗ることはできないけれど、飛行機ってワードに敏感なわけではないから大丈夫。ただ本当に大翔がどんな感じで仕事をしているのか気になっただけ」

「……そうか」

 安心したように呟いて、大翔は青信号に変わると車を発進させた。

「そうだな、パイロットになるまでに多くの資格を取得し、厳しい訓練を積み、多くのことを学ばなくてはいけない。人の命を預かる以上大変な仕事ではあるけど、それ以上にやりがいもある」

 口を挟むことなく彼の話に耳を傾けた。

「飛行時間の長い短い関係なしに、お客様を無事に目的地に届けることができたら達成感があるし、フライト中の緊張感も好きでさ。なによりコックピットから見る空は言葉にできないほど本当に綺麗でさ。飛行場所によってはオーロラが見えたりもするんだ」

「オーロラは見えるの? すごい」
< 44 / 231 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop