不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「初めて見た時は俺も感動して泣きそうになったよ。それくらい素晴らしかった」

「そっか。……実はね、両親が最後に送ってくれた写真が行きの飛行機から見えたオーロラだったの。それがすごく綺麗で、祖母の携帯に送られてきた写真をお兄ちゃんと何度も見た記憶が鮮明に残っていて。いいな、私も一度でいいから見てみたいな」

 オーロラって日本でも見えるのかな? でもきっとテレビで見るようなオーロラを見ることは難しいはず。そうなると今の私では見ることが叶わない。

「オーロラなんて、何度だって見ることができるさ」

「えっ?」

 すると彼は真っ直ぐ前を見つめたまま続けた。

「今は無理かもしれないけど、人生は長いんだ。いつかきっと飛行機に乗れる日がくる。現に前は見るのもだめだったんだろう? それが見ても平気になったんだ。絶対に乗ることができるさ」

 乗ることを考えただけで怖いのに、いつか乗って世界中どこでもいける日がくる? きてくれるならきてほしい。

「その時は俺が世界中、どこへでも桜花の行きたいところに連れていってやる。だから諦めるな」

 力強い声で言われた一言に胸が熱くなる。
< 45 / 231 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop