不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
 そうだよね、今は無理でもこの先はどうなるかわからないんだ。本当に大翔の言う通り、歳を重ねるごとに恐怖心は薄まっていき、飛行機に乗れる日がくるかもしれない。

「ありがとう、なんかいつか絶対に乗れるような気がしてきた」

 素直に感謝の気持ちを伝えると、大翔は嬉しそうに頬を緩めた。

「トラウマを克服するために協力できることはなんでもするから、遠慮せず言ってくれ」

「……うん」

 不思議、お見合いの日はあまりいい印象を持たなかったのに、彼を知れば知るほど好感を持っている。

 今だって彼の仕事に対する思いを聞いて、心から仕事に誇りを持ち、真摯に取り組んでいるのが伝わってきたし、トラウマについても優しい言葉をかけてくれた。

 だから余計にこれほど素敵な人が私との結婚を望む理由が知りたくなる。いったい上杉のおじさまになにを言われたのだろう。

 そうでなければ、こんなに素敵な人が私と結婚したいと思わないはず。当然のことなのに、自分で思ってなぜか悲しくなる。

 恋愛経験はないけれど、なんとなく誰かを好きになったらどんな感情を抱くのか、わかった気がする。
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