不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「四日間海外にいたから、日本食が恋しくて料亭を予約したんだが、よかったか? 嫌ならフレンチやイタリアンにしよう」

「ううん、予約してくれたところで大丈夫」

 むしろレストランではなくて助かったかも。私も祖母に連れられて幼い頃から高級店で食事をしてきたけれど、VIP専用は初めてだ。

 さすがに緊張して、テーブルマナーを間違えそうで怖い。その点料亭ならナイフとフォークを使うこともない。

「それならよかった。じいさんお気に入りの店でさ。なにかあると利用させてもらっていたんだけど、なんでもうまいから楽しみにしてて」

 そう話す大翔はまるで少年のように顔をクシャッとさせて笑うものだから、胸がきゅんとなる。

 な、なにその可愛い顔は。不覚にもドキッとしちゃったじゃない。

 胸の高鳴りを抑えながらエレベーターから降り、料亭へと入った。

 店内は落ち着いた和の空間の完全個室になっており、八畳ほどの部屋には有名な絵師が描いた掛け軸か飾られており、有田焼の花瓶には、目を奪われるほど綺麗に花が生けられていた。

 さすがVIP専用の料亭だけある。よく海外の要人を接待するのに使用されていると聞くのも納得だ。
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