不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
 予約の時点でコース料理を注文してくれていたようで、すぐに先附がテーブルに並べられた。

 蕗の唐豆腐や山菜の酢橘ジュレ、その他にも赤貝やこごみなど様々な食材を使用した料理が一品一品綺麗に盛り付けられている。

 どれも美味しそうで、さっそく手を合わせる。

「いただきます」

 箸を持って小鉢に手を伸ばした時、ふと感じた視線。顔を上げたらなぜか大翔が大きく目を見開いていた。

「どうしたの?」

 不思議に思って声をかけると、彼は「いや、悪い」と言って目を逸らした。

「その……食事の前にしっかりと手を合わせるの、いいなと思って」

「え? そう、かな。昔から食事の前は必ず手を合わせていたから……」

「……そうか」

 今度はホッとした声で呟く大翔に困惑してしまう。

 当たり前にやっていたことだけど、もしかしてマナー的にだめだった? 不安がよぎったが、大翔も私を真似て両手を合わせた。

「いただきます」

 その姿に胸を撫で下ろし、さっそく料理をいただく。
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