不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
 どの料理も繊細で味付けも最高で、あっという間になくなってしまった。するとタイミングよく次の料理が運ばれてきた。

 蛤の茶碗蒸しや甘鯛の唐墨焼き、平目やのどぐろの刺身、黒毛和牛や釜焚きご飯など、どの料理もとても美味しかった。

 デザートにはわらび餅と桜餅が出て、最後まで見た目も味も楽しめた。

「どうだった?」

「どの料理も本当に美味しかった」

 食後のお茶を飲みながら一息つく。すると大翔はジッと私を見つめてきた。

「会った時から思っていたのに言えなかったけど、今日の着物、すごく似合ってる」

「えっ」

 なんの前触れもなく褒められ、目を瞬かせてしまう。

「いつも自分でなにを着るか選んで着付けもしているのか?」

「あ……うん、もちろん」

 戸惑いながらも答えていく。

「季節やその日の天気に合わせて選んでいるの。それと新作が出たら宣伝も兼ねて着たりしている」

「そっか。帯や小物も変えるのか?」

「そうだよ。帯締めひとつだけで印象がだいぶ変わるから。その分、選ぶ楽しみもあるよ」

 その後も大翔は着物や私の仕事に関して次々と質問してきた。その度に大好きな着物の話しているうちに嬉しくなって、いつの間にか聞かれていないことも話していた。
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