不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「それなら頑張って俺も好きになるまでさ」

 本当にどこまでが大翔の本音なのだろうか。サラッと言えるのは本心ではないからかもしれない。頭ではそうわかっているのに、さっきから胸のときめきが止まらないから困る。

 帰りも車に乗る際は大翔にドアを開けてもらって乗り込む。そして車を発進させた彼は、少しして思い出したように口を開いた。

「そうだ、さっきの俺が嬉しいって言った話の続きだけどさ」

「あ、そうだよ、気になってたの。どうして私が怒っていたことが嬉しかったわけ?」

 その答えが知りたくて運転する彼の横顔を見つめた。

「怒ったり自分の感情を出してくれたりするってことは、少しは俺に心を開いてくれているってことだろ?」

「それは……そう、かもしれない」

 よく考えたら、まだ出会った間もないのに相当私、彼に心を開いていない? こうして顔を合わせるのは二回目なのに。

 どうしてだろう。友達とだって打ち解けるには最低でも一ヵ月はかかったよね。会っていない間もメッセージでやり取りをしていたから? だからこんなにも狭い車内でも緊張せずにいられるの?

 その理由がわからなくて頭を悩ませている間も大翔は話を続ける。

「俺はどんな桜花も知りたいと思っているから嬉しかったってわけ。だからこれからも、もっと色々な桜花を俺に教えてくれ」
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