不本意ですが、天才パイロットから求婚されています～お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました～【極甘婚シリーズ】

「色々な私？」

「あぁ。桜花のことならなんだって知りたい。もちろんその分俺のことも桜花に教えてやる。……俺のこと、ほとんど知らないだろ？」

　まだ出会って間もないのだから当たり前だというのに、なぜか大翔は悲しげな声で放った。

「当然でしょ？　会うのは今日が二回目なんだから」

「……そうだな」

　小さなため息を零しながら呟いた彼は、ある場所の駐車場に車を停めた。

「おりよう」

「え？　あっ、待って」

　先に車からおりた彼に続いて私もシートベルトを外す。すると先ほど同様、大翔が助手席に回ってドアを開けてくれた。

　外に出ると、そこは海が望める大きな公園、サウスパークだった。しかし夜の公園は街灯があるものの、薄暗くてどこか不気味な雰囲気。当然人通りはなく、シンとしている。

「食後の運動がてら、少し歩かないか？」

「うん、いいけど……」

　夜の公園なんて滅多に来ないから、なんか変な感じがする。

　街灯の明かりを頼りに大翔とともに歩を進めていく。すると次第に視界が開けてきて、波の音が聞こえてきた。

　さらに先に進むと手すりがあって海を近くで眺めることができるようだ。

　手すりの前で足を止め、お互い海を眺める。近くにはヘリポートもあってそれもよく見えた。