不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
 記憶は曖昧だけれど、幼い頃はよくこの公園を訪れていたようで写真がたくさん残されていた。大人になってからも、散歩に来たことが何度かあるが、いつも日中だったから初めての場所に来たような感覚。

 暗い中、月光やライトによって見える水面は幻想的で、誰もいないから水面が揺れる音も鮮明に聞こえてくる。

「夜の公園もいいね」

 ふと漏れた本音に、大翔はすぐに反応した。

「そうだろ? 落ち着くよな」

「うん」

 いつもの喧騒から逃れてきた気分だ。でも、こうして落ち着ける時間って大切なのかもしれない。

「つらいことや悲しいこと、悔しいことがあると決まってここに来ているんだ。……俺にとって、大切な人との思い出の場所だから」

 意味深な言葉に反応してしまい、彼の横顔を盗み見る。すると大翔は夜空を見上げていて、その大切な人を想っているのだろうか。幸せそうな、切なそうな……。

なんとも言えぬ表情になぜか胸がギュッと締めつけられて、これ以上大翔の顔を見ていられなくなる。

 なんでこんなにつらい気持ちでいっぱいになっちゃっているんだろう。

 視線を逸らすも、なにか言わなければもっと胸が苦しくなりそうで慌てて口を開いた。
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