不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
 きっと大翔は私のことなんて、なんとも思っていないから恥ずかしい言葉をいとも簡単に言えてしまうんだ。

 なんだろう、この永遠に終わらない気持ちの浮き沈みは。嬉しくなったりドキドキしたり落ち込んだり……。

「寒くないか?」

「うん、大丈夫。……ジャケット、ありがとう」

 照れ臭さを感じながらも言うと、大翔は嬉しそうに目を細めた。

「どういたしまして。じゃあ帰るか」

「……うん」

 ナチュラルに私の手を握り、歩き出した彼にまたドキッとしてしまう。もう反応することもできないほど胸が苦しい。

 初恋もまだの私には、誰かに恋した時の感情など知る由もないはずなのに、彼に対する気持ちが恋ではないかと思うのはなぜだろう。

 これまでの人生で多くの男性に出会ってきたのに、まだ知り合って間もない彼にこれほど惹かれている理由はなに?

 その答えは出るはずもなく、大翔の運転する車に揺られて自宅へと向かう。
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