不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「どういたしまして。それぞれわらび餅を食べた家族がどんな反応をしたか、報告し合おう」

 報告し合おうなんて、彼が無邪気に言うものだから思わず笑ってしまった。

「わかったよ。大翔も上杉のおじさまがどうだったかちゃんと教えてね」

「あぁ。桜花も栄臣たちと食べながらどんな話をしたか教えてくれ」

「うん、約束」

 それから少し話をしてお会計することになったんだけど、ここでひと悶着あった。前回は大翔に出してもらっちゃったし、今日もお土産を買ってもらったわけだから当然私が払う気でいたのに、彼が「俺が出すからいい」と言い出したのだ。

 さすがに申し訳ないし、この店に誘ったのは私だと言ってどうにか支払いをさせてもらえた。

「ごちそうさま。奢ってもらったから、今度は俺が出すからな」

「それじゃまた私も出したくなるんだけど」

 それでなくても前回のデートの際の食事代とわらび餅代とでは、雲泥の差で申し訳なく思っているのに。

 駐車した近くのパーキングへ向かいながら、大翔はなにか閃いたようで声を弾ませた。

「じゃあ延々とデートを繰り返せばいい。うん、結婚しても子供ができたとしても、必ずふたりの時間を作ろう」

「結婚に子供って……!」

 まだ恋人にもなっていないというのに、彼はいったいなにを言っているの?
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