不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「俺は何度も桜花と結婚したいって言っているだろ?」

「そうだけど……」

 だめだ、このままではまた大翔のペースに巻き込まれてしまう。

「早く帰ろう。明日、朝早いんでしょ?」

 歩くスピードを速めると、大翔は残念そうに「あぁ」と呟いた。

「明日、朝一のフライトじゃなかったら夕食まで一緒にいたかったんだが」

「仕事なら仕方ないじゃない」

 大翔はパイロットとして業務に支障をきたさぬよう、睡眠時間をしっかりと確保し、日々体力作りにも励んでいるそう。

 お酒も乗務する十二時間前から禁止されているだけで、飲むことは問題ないのにパイロットになってからは一度も飲んでいないって言っていた。

 真面目で仕事に真摯に取り組んでいる姿は尊敬する。

 彼の運転する車で自宅に向かう途中も、他愛ない話が尽きず、あっという間に着いてしまった。

「今日はありがとう」

 シートベルトを外しながら言うと、大翔は「こちらこそ」と言う。

「明日からイギリス便だから、行く前に会えてよかった。そうだ、この前も話したけど飛行ルートによってはオーロラが見えることもあるんだ。もし見られたら写真を撮って送るよ」

「本当? 楽しみにしてる」

「あぁ」
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