不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
 私だって大翔に料理を褒められたら嬉しいだろうし。……ん? ちょっと待って。なんでここで大翔が出てくるわけ? 私は好きな人に褒められたら……と考えたまでであって、べつに大翔のことを考えていたわけではないのに。

 玉ねぎの皮をむく手は止まりパニックに陥っていると、雪乃さんが「どうしたの?」と聞いてきた。

「あ、いいえ! なんでもないです。ただ、その……」

 大翔のことを考えていたんですなんて正直には言えず、口籠る。

 するとピンときたのか、雪乃さんは包丁で人参を切る手を止めて声を潜めた。

「もしかして大翔君のことを考えていたの?」

「えっ!?」

 大きな声で反応してしまっては、図星ですと言ったもの。確信した雪乃さんはにんまり顔で続けた。

「そっか、そっか。桜花ちゃん、大翔君のことが好きになっちゃったか」

「ちょ、ちょっと雪乃さん? 私、まだ一言もそんなこと言っていませんよね?」

「じゃあ違うの?」

 間髪を容れずに聞かれた言葉を、すぐに否定することはできなかった。

 だってこんなにもドキドキするのも、彼の些細な言動に心が振り回されるのも、大翔に惹かれている証拠でしょ?

「雪乃さんはどう思いますか?」
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