不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「そうじゃない。……初めまして。上杉(うえすぎ)大翔(ひろと)です」

 そう言った彼は私から目を逸らした。

彼もまた不本意に連れてこられたのではないだろうか。

 職業病というのか、接客を通して多くの人と接しているからか、表情を見て相手の感情がなんとなくわかるようになった。
今の彼からはどこか切なそうな、困惑しているような……そんな表情が垣間見られる。だけどそれなら私にとって好都合だ。相手も望んでないのなら断りやすい。

「ほら、桜花も自己紹介なさい」

 祖母に言われ、慌てて「すみません、松雪桜花です」と名乗った。

「さて、可愛い孫たちの自己紹介も終わったことだし、食事にしようか」

「そうですね」

 祖母たちに言われ、私たちは向かい合う形で腰を下ろした。さっそく美味しそうな料理が運ばれてくる中、改めて正面に座る彼をチラッと見る。

 本当に芸能人だと言われても疑わないほど綺麗な顔立ちをしている。それにパイロットでしょ? 絶対にモテるよね? 恋人がいてもおかしくない。
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