不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「ん? なにが?」

 雪乃さんも兄同様、大翔と交流があったと聞いている。私よりも彼のことを知っているかもしれない。

「私と大翔はお見合いの日に初めて会ったんです。大翔は上杉のおじさまから話を聞き、写真も見せてもらって私のことを知っていたと言っていましたけど、でもそれだけで会ってすぐに結婚を決められますか? どうも私は大翔には私と結婚しなければいけない理由があるんじゃないかって疑っちゃって……」

 どれだけ大翔に愛の言葉を囁かれても素直に受け入れられないのは、これが原因だ。だって恋ってそんなにすぐ芽生えるものなの? それも生涯ともに過ごすことになる結婚相手を会ったその日に決められるもの?

 それを聞きたくて結婚している彼女の答えを待つ。すると雪乃さんは気まずそうに目を泳がせた。

「えっと……人それぞれじゃないかな? 実はこれ、栄臣に家族には絶対に言うなって言われていたんだけど、私ね、栄臣に入学式の日にプロポーズされたんだよね」

「プロポーズって……えっ!? お兄ちゃんがですか!?」

 思いもよらぬ話に大きな声で聞き返すと、雪乃さんは人差し指を立てた。

「本当に内緒よ? 栄臣とは隣の席でね、これからしばらく隣で過ごすことになるから声をかけたら微動だにしなくなっちゃって。どうしたのか聞いてみたら、『結婚してくれ』って言われたの」

「嘘……」
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