不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「ひとりで悩むよりもふたりで悩んだほうがいいし、栄臣にはこんな話できないでしょ?だから私でよければいつでも話を聞くからね」

「ありがとうございます、雪乃さん」

 学生時代に友人はいたけれど、その頃から店の手伝いをしていてあまり遊んでいなかったし、卒業してからはみんな会社勤めで休みが合わず疎遠になっていった。

 だから雪乃さんは義姉であり、友人のような存在でもある。

「あ、そろそろ栄臣とおばあ様が帰ってきちゃう。急いで作ろう」

「本当だ、急ぎましょう」

 それからふたりで協力して調理を進めていった。

 その日の夜は夕食後、大翔が買ってくれたわらび餅で楽しいひと時を過ごした。


 次の日。今日の店番は私と兄で、祖母は休み。兄とともに家を出て、開店の準備を進めていく。

「今日は宮本様が着物の新調にいらっしゃるから、俺が対応する。悪いが十一時から一時間ほどひとりで店を頼む」

「うん、わかった」

 今日の仕事の流れを確認し、兄は宮本様に紹介する着物を選び始めた。真剣な姿を見ながら、つい昨日の雪乃さんの話が頭をよぎる。
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