不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
 あの兄が出会ってすぐにプロポーズだなんて、本当に想像ができない。

 でもきっと兄は雪乃さんをひと目見てなにかを感じたんだよね。だってそうでなければ、会ってすぐに結婚したいなんて思わないもの。

 そう思うと、誰かを好きになる瞬間ってひとそれぞれだ。兄のようにひと目惚れから始まる人もいれば、雪乃さんのように少しずつ相手を知っていって好きになる人もいる。私はどうなんだろう。

 開店時間が近くなり、私は暖簾を外にかけに出る。おもむろに空を見上げれば、雲ひとつない綺麗な青空が広がっていた。

 少ししてかすかに飛行機のエンジン音が聞こえてきて見渡せば、一機の飛行機がゆっくりと空に向かって上昇していた。

「大翔はもう空の上だよね」

 今日、朝の五時に行ってくるとメッセージが届いていたから。

 飛行機で空に飛び立つ時ってどんな感じなんだろう。離陸の際は大きな重力は身体にかかると聞くけど、それを毎回大翔は感じているんだよね。

 なにより空から見る地上はどんな感じ? 雲の上は? 雲の上だからいつも晴れているのかな?

 次々と疑問が浮かぶことが可笑しくて、笑みが零れる。
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