不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
「実は片想いしている人が最近、着物に興味を持っているようでして……。好きな人との接点というか、彼の好きなものを共有したいっていう不純な理由で申し訳ないのですが、私に似合う着物はあるでしょうか?」

 なんて可愛い理由で来てくれたのだろうか。そんなことを言われたら全力で応援したくなる。

「もちろんです。ご案内いたします」

 私は次々と彼女に似合う着物を提案していった。

「よかったら合わせてみませんか?」

「いいんですか?」

「もちろんです」

 服の上からでも羽織ることで、実際に着た時のイメージはできると思う。

 女性に大きな鏡の前に立ってもらい、長くて綺麗な髪を後ろでひとつにまとめさせてもらう。

「失礼します」

 イメージがつきやすいように、着物を羽織る前に首に衿を付ける。そして着物を羽織り、整えていく。

「うわぁ、すごくいいですね」

「はい、とてもお似合いです」

 彼女におすすめしたのは、薄い紫色をベースに色とりどりの花が散りばめられているシックなデザインのもの。帯は赤でメリハリをつけると、予想通り彼女にとても似合っていた。
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