不本意ですが、天才パイロットから求婚されています~お見合いしたら容赦ない溺愛に包まれました~【極甘婚シリーズ】
 そう思ったら飛行機への恐怖心よりも、大翔の働く姿が見えるという期待感が勝っていた。

 しかしモノレールに乗っていると次の到着駅が空港のターミナルとアナウンスが聞こえ、一気に緊張が襲ってきた。

「大丈夫、見るのはもう平気になったじゃない」

 そう自分に言い聞かせながら到着を待つ。駅にモノレールが停車し、次々と乗客が降りていく様子を眺めてから、最後に席を立って降りた。ホームに降り立ち、まずはターミナルを目指していく。

 大翔は国際線の便で帰ってくるから、ターミナルを間違えないようにしないと。

 エスカレーターに乗って頂上に着くと、空港ロビーは多くの人で溢れていた。

「すごい人……」

 あまりの人の多さに圧倒されながらも、邪魔にならないように前へ進む。徐々に開けてきて、搭乗カウンターが見えてきた。

 ここからでは飛行機は見えそうにない。たしか展望デッキがあったよね? そこなら自由に出入りできるから見えるはず。

 案内図を頼りに展望デッキへと向かった。

 ドアを開けると冷たい風が一気に全身を襲う。一日の中で一番気温が高い時間帯とはいえ、真冬の寒さに身が縮こまってしまう。

 寒さに耐えきれず、展望デッキにいた数人は去っていった。誰もいなくなり、私はゆっくりと歩を進める。
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