口に甘いは腹に毒
🍰
「うえ……ピーマン」
食べ物の不味いところを煮詰めた、緑の悪魔が底に敷かれていた。
策士だ。食べ進めなければ見えないところに隠してあった。
作成者は目の前にいるわたしの幼なじみ。同じ内容のお弁当をあっさり食べ終えている。
律儀に合掌して「ごちそうさま」と唱えようとしているので、途中で遮った。
「玉露くん……食べて」
「ううん。苹果ちゃんが食べるんだよ」
わたしの言うことを見越されてたみたい。ノータイムで返してきた。
でも「ごちそうさま」が済んだら本当に食べてくれなくなるから、チャンスは消えてない。
「ひ、一口だけ。……お願い」
一切れを箸で掴み、玉露くんの口の前に持っていく。
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