口に甘いは腹に毒
わたし、全然玉露くんのことわかってないんだもんな……。
一緒にいるだけじゃ見えてこないものがいっぱいある。
ちゃんと、わたしからぶつかりにいかないと。
家の通りへ続く道を曲がったとき、玉露くんの家の駐車場から人影が現れた。
玉露くんと、そのお母さん。買い物帰りみたいで、袋を手に持っている。
き、気まずい……。幸い、まだ遠くて向こうはわたし達に気がついていなかった。
今は、一旦スルーするべきかな……。
足取りを重くしながら、少しずつ近付いていく。
「それならもう安心ね」
「……うん」
二人が鍵を開けながら会話している。
……なんの話だろう。
盗み聞きはよくないとわかっていつつも、嫌な予感がして思わず死角に身を隠す。
那由多先輩も察してくれた。