口に甘いは腹に毒
もだもだしている間も、時間は進む。
日が落ち、薄暗くなると急激に温度は下がるものだ。
優しい風でさえ、脅威へ変わる。
「……苹果ちゃん、」
身震いしたわたしを見かねた玉露くんが手を伸ばしてきた。
赤くなった手に触れそうになる。
だから、わたしが先に玉露くんの手を握った。
細長く、綺麗な白い肌。
料理をするからか、爪は整えられていて細部まで繊細だ。
同じなのはわたしより大きいという点だけ。
人によって違うんだと意識する。
「デート、楽しめた? 嫌なことされなかった?」
「……されな、かった、けど」
「そっか、よかった」
玉露くんの気持ちは確定した。
なら、まだ満たされないこの感じはなんなんだろう。