口に甘いは腹に毒


「あの、なに、を。謝ります、ごめんなさい、すみません。だから……」

「大人しくしろ」



 首筋に頭を埋められ、すん、と嗅ぐ音がした。



「っ、ひ、」

「……甘」



 首元にねっとりと、ぬるい感触。舐められたんだって、すぐわかる。


 吐きそうだ。胃の奥から不快感が滾り、頭がぐらぐら揺れた。

 怖い、気持ち悪い。のに、体も声も思うように動かせない。


 玉露くんごめんなさい。

 わたしが軽率な発言をしたから。

 アップルパイ以外に欲を出してしまったから。


 恐怖で涙が溢れてくるのを食い止めようとしてみるけど、何もかも言うことを聞いてくれなかった。

 ゆっくり顔が離れていき、目を細めた彼がはっきりと告げる。



「へえ。おまえがケーキか」

「──え?」



 ヒュッと息が詰まる。

 ──たぶん、バチが当たったんだ。

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