口に甘いは腹に毒
那由多先輩は腕を組む。
ふむ、とひとしきり噛み締めて。
「苹果、自立しろ」
真っ当な意見でわたしの後頭部を殴った。
う……そうだよね……。
わたしもそれがいいのかなって考えてた。
変わらないと、今後どんどん苦しくなっていきそうだなって。
「ずっと考えていたんだが、今の苹果は玉露を大事にしすぎて、俺のものにならなさそうだ。俺にめちゃくちゃ都合が悪い」
「んっ?」
あれ、そういう理由?
「ついでに苹果の思考が狭くて気に入らない。玉露しかいないってなんだ、俺がいる。俺がいれば剣もいる」
那由多先輩は自分勝手なことを言っている──だけどその裏、ストレートで容赦ないけど的確な言葉をくれている。
周りに流されず、自分の意見ややりたいことが明確で、嫌なことから逃げない。
こういう人を自立してるって言うのかな。