口に甘いは腹に毒
「できたっ」
「うん。僕もできた。盛り付けようか」
「え!?」
ハンバーグ作ってたんだよね……!?
野菜を切るだけの工程と同時に終わった……!?
フライパンの上とまな板の上を見比べる。
「玉露くんのハンバーグは美味しそう、わたしのサラダは……なんか、汚い……」
「気にしなくていいよ。胃に入れば同じ」
玉露くんらしい考え方だ。
「僕は、苹果ちゃんが美味しく食べてくれればそれでいいよ。サラダはどっちみち美味しくないんでしょ?」
「むしろ自分で切ったことで、初めてサラダを愛せそう」
「良いことだね」
良いことだった……。
盛り付けだけは、色合いを意識してお皿に乗せた。遠目で見ればサラダの形は保っている。
「いただきます」
「いただきますっ」
味は……全然愛せなかった。