口に甘いは腹に毒
わたしの嘘はバレていた。
これ以上ごまかしても無駄だ。嫌われる原因になるだけ。
「……良い人、だよ。那由多先輩は」
「うん」
「仲良くするかは置いといて……空気扱いは、できないかも……」
「……うーん」
玉露くんはハンバーグを口に入れ、じっくり咀嚼する。
そして、飲み込んだ。
「いいんじゃない? 仲良くしたら」
「え、」
……これは本音?
表情は、無表情ってほどでもなく、普通。声色からも不機嫌さは消えている。
ダメだ、読めない。何もわからない。
どうするのが正解?
わたしは──どうしたい?
那由多先輩とは、仲良くしたくないわけじゃないけど。
それを堂々としてこなかったのは、失うものが大きいからで。
「……そうなったら、玉露くんはいてくれる?」