口に甘いは腹に毒
まっすぐ見つめると、玉露くんの瞳が揺れた。
「苹果ちゃんが僕を必要とするなら……」
「わたしが! ……は、一旦なしで。玉露くんはいたいと、思ってくれる?」
「……、」
仮に、那由多先輩がいたとしても。
心の底から変わらず接してくれるなら、これ以上良いことはない。
けどさ、たぶん。
「…………いたくは、ないかな」
そんな簡単にできてないよね。
「一応言っておくとさ、僕も御鏡先輩は良い人だと思ってるよ。最初ほど警戒もしてない」
玉露くんは淡々と話しながらお皿の上を減らしていく。
わたしのお皿とは正反対。
「でもあの人はフォークだから」
ハンバーグの最後の一切れが消える。
「フォークだと知ってしまったなら、いつ関係が壊れても仕方ないよね」