口に甘いは腹に毒
ケーキがフォークを受け入れる、というのは。
うっかり食べられてしまっても構わないと言っているのと同じ。
「本能を信頼だけで庇うのは、想像するより難しいよ」
思考が止まる。何も言い返せない。
そうこうしている内に玉露くんはご飯を食べ終え、食器を片付る。
「それも込みで付き合っていけると思うなら、仲良くしてもいいんじゃないかなって思うよ。……ただし、僕はその状況で苹果ちゃんの近くにいると色々杞憂しそうだし、いたくない」
玉露くんか、那由多先輩か。
二者択一を迫られているかのような、圧迫感。
わたしが一緒にいたいのは玉露くんなのに。
何をそんなに……戸惑う必要があるの。
「──苹果ちゃん。僕達、ちょっと離れてみようか」
一度亀裂が入ってしまえば、後は崩れていくだけ。