口に甘いは腹に毒
「おいしくするようにお母さんに言っとくから、それでいい?」
「いいくないっ……りんごはママのごはんが食べたいの、ママのっ……うあぁ~ん……っ」
しまいには泣き出す始末。
「よくないかぁ……ぼくはりんごちゃんのママになれないしなぁ」
「なれるわけないじゃんっ……! ぎょくろくんはぎょくろくんだよおっ……」
「……だね」
泣きじゃくるわたしを玉露くんが抱き寄せる。
結局わたしは単純だった。それだけで安心に繋がるくらい人恋しかったのだ。
「ぼくがママの代わりにこうするのも……よくない?」
「ぐすっ……よい」
「いいんだ」
玉露くんはママと違って遠くに行かない。ママと違って構ってくれる。
わたしには玉露くんだけなのかも……って、このときからうっすら思い浮かび始めていた。