口に甘いは腹に毒
意識しないよう頑張ってみたけど、どうしても無理っ……。
「ほーら、ここも熱い」
つつ、と那由多先輩がわたしのうなじをなぞる。
「ひゃ、っ……」
「ふは……かわいー声」
なんでそんな、嬉しそうに言うんですか。こっちはひたすら恥ずかしいだけなのに……。
散々ドキドキさせられてきて、もうこれが恋なのかなんなのか、わからなくなってきた。
「那由多先輩はっ……わたしじゃないと、ダメなんですか?」
正直言ってしまうと、先輩とのことを真剣に考えたことはない。
玉露くんを一番優先したかったし、先輩への好意が恋だとか、はっきり感じないから。
けどさ……いくらなんでも優しくしてもらいすぎて、申し訳なく思ってきた。