口に甘いは腹に毒
わたしには関係ないけど……気になってしまう。
しっかりしないと……。玉子焼きはちょっとだけ上達してきたんだから。
この調子で、空いた穴を自分で埋めていけばいい。気にする必要なんてないんだよ。
「那由多先輩はクリスマス、何かされるんですか?」
だから、気を取り直して。車の中で、何気ないやり取りとして問いかける。
「特には。苹果を家に呼ぼうと思ってるくらいだな」
「……わっ、わたし?」
あまりにも自然に言うからスルーしそうになった。
「んー? いいだろ?」
「っっ……」
わたしの方へ寄りかかってくる那由多先輩。甘えるように細められた瞳が、めまいを起こしそうなほどかっこいい。
告白された側はわたしなんだけど、わたしの方が意識してるみたい……。