口に甘いは腹に毒


「……まだ諦めてないんです。玉露くんに一人で作った料理を食べてもらって、美味しいって言ってほしいんです。そのために料理してるから、剣先輩のお手を煩わせるわけにはいきません……」



 膝の上で拳を握った。

 近くでため息の吐く音が聞こえ、びくっと肩が揺れる。



「どうしてその理由で断ることになるんだ?」

「……ん、ええ?」

「剣に教わって、上達して、玉露に食べさせればいいだろ」



 開いた口が塞がらない。

 え、だって、那由多先輩に告白されたからには、ちゃんと向き合うべきだ。

 それで他の男の子のことを考えながら料理を教わるって、よくないよね?

 わたしが変なの?



「い、いいんですか?」

「俺の許可がいるのか?」

「そうじゃ、なくて……」



 なんか、もっと……その。

 嫉妬とか、ないのかな……?

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