口に甘いは腹に毒





 調理を始めて約一時間。



「お、できたのか」



 無事完成した肉じゃがを那由多先輩のところへ見せにいった。

 勉強の邪魔にならないか心配だったけど、剣先輩が「息抜きも必要でしょう」と言ってくれて。


 盛り付けしたものを剣先輩に運んでもらってる途中、御鏡家の使用人だろうメイドさんから視線がふりかかったけど。

 剣先輩が一言「仕事に戻ってください」と言い放った途端、わっと散っていったんだよね。

 剣先輩もまだ高校生なのに、この家では立場が上の人なのかな……?


 那由多先輩の部屋は、まるで貴族の部屋みたいだ。

 黒をメインにしたアンティーク調の家具、日当たりの良さそうな窓、高い天井……うあ、シャンデリアまで。

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