口に甘いは腹に毒
「わたしって、玉露くんの負担になってない?」
「……どういうこと?」
「えと……玉露くんに嫌われたくないからね、玉露くんの好きだったアップルパイを買いに行ったんだ。でもわたし、どうしても抹茶のティラミスが食べたくなっちゃって、イートインスペースで過ごしちゃったの」
「……うん」
要領を得ない話をつらつらと連ねてしまう。
聞いてる側からすれば結論が見えないので、何が言いたいのかわからないと思う。
だとしても最初から全て話したい気持ちが抑えられず、口は止まらない。
「そこで、隣に座ってた人がね、ケーキを残してたんだけど……」
「うん。アップルパイは? 買ってきてくれたの?」
「っあ……ちゃんとあるよっ、はいっ」
袋を取り出す。
玉露くんは「ありがとう」と優しく笑い、わたしをリビングのソファーに座らせてくれた。