口に甘いは腹に毒

 ええ、だって、味……わからない、よね?

 ここで『美味しい』って言ってもらえたとして、わたしはそれが嘘だとわかってしまう。

 誰も悪くないのに、誰も得しないよね……とか、考えちゃうんだけど。

 どういう感想をくれるつもりなんだろう……。



「ん、いいんじゃないか。じゃがいもの柔らかさもちょうど良い」



 聞いてから、電流が走ったかのような衝撃を受ける。

 確かに、食感。味に関係ないけど、美味しさには関係あるよね。


 那由多先輩は、わたしが想像もできない視点を持ってる。

 本当に……すごい人だなあ。



「ありがとうございます……食べてくださって」



 ぺこりと頭を下げた。

 

「苹果が作ったとなると、ほんのり甘く感じるな。エキスかもしれない」

「入ってないです! ……けど、そう感じてもらった方が嬉しい、です」



 不味いと感じられるよりはね。

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