口に甘いは腹に毒

「入って」

「……おじゃまします」



　玉露くんの背中を追う。

　すぐ触れる位置に玉露くんがいる。わたしだけを見てくれて、わたしだけに話してくれている。

　……本物だ。玉露くんだなぁ。


　だけど、普段通りなのが逆に不安を煽る。

　たぶんもう、わたしに関心を持ってくれてないんだろうな。

　追いすがってるのはわたしだけなんだ。



「お昼まだ食べてないんだけど、苹果ちゃんは？　何か作ろうか？」

「あっ、それならっ……！」



　温め直したばかりの肉じゃがを見せる。



「わたし一人で作ったの、食べてっ……」



　最後の悪あがき。

　これで全部……終わりにするよ。



「一人で？　すごいね」

「う、うん……玉露くんに頼らなくてもね、色々できるようになりたくて、！」

「……あぁ。そうなんだ」