口に甘いは腹に毒

 実際は終わらせる度胸もなかったけど。



「……僕も」

「えっ……」

「僕も寂しかったよ。お弁当作って、あ、もう二人分じゃなくていいんだったーって気付いたときとか」



 嘘……。

 同じ気持ちだったの?



「じゃあ、離れてみようって言ったのはなんで、」

「だって苹果ちゃんは、僕がいなくちゃダメだったでしょ? ……ま、そうなるようにしてたんだけど……」



 最後の方は小さくてよく聞こえなかった。

 わざと聞こえなくされたんだろう。余計なことをわたしに言わないのが玉露くんだから。



「御鏡先輩とはうまくできた?」

「っ……」



 やっぱり。

 玉露くんは、わたしと那由多先輩を近付けるために。

< 169 / 187 >

この作品をシェア

pagetop