口に甘いは腹に毒


「ん、んんっ……!?」

「はー……おいし、」



 口内を熱いものがかき回す。

 わたしの知らない玉露くん。玉露くんがわたしに見せてこなかった部分。

 表層が剥がれ落ち、わたしに落ちてくる。


 強引で乱暴で、自分の欲に従ってるだけの行為。

 だけど。

 わたしは少し、嬉しくなってしまっていた。



「はぁっ、はっ……」



 塞いでいたものが離れていく。

 息がうまく吸えなくて、酸欠みたいにぼーっとした。


 体がふらつき、イスの背もたれにも満足に体重を預けられない。

 玉露くんに寄りかかるよう腕を引かれ、いつの間にか密着していた。


 終わり、かな……?

 玉露くんの様子を窺う。

 冷めた瞳に、口の端を舌で舐める仕草。


 ドクンと体が脈打った。

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