口に甘いは腹に毒
さっきよりずっと丁寧に、唇同士が触れた。
こじ開けられた中を、角度を変えて幾度も味わい尽くされる。
胸に甘い熱が広がっていく。
わたし、玉露くんに食べられてる……。
なんで嫌じゃないんだろう。
なんで少し悲しいんだろう。
たぶん、玉露くんにならうっかり骨まで食べられたって許せるよ。
わたしの全部をくれた人だもん。
だけどそんな関係……友達とは言えないね。
「ごちそうさま。もう二度と、ここへ来なくていいからね」
「あ、う……」
背中を向けられる。
拒絶されたとき、どうするか決めていてよかった。
「……わかっ、た」
嬉しいのに、辛くて。甘いのに苦い。
よくよく考えてみれば、最初から彼に対して抱えていた感情だった。
「──今までありがとう、玉露くん」
なにもかも、遅すぎたんだね。