口に甘いは腹に毒

 だけど……なぜか突き放されることはなくて。

 かと思ったらあっさり別れを聞き入れた。

 どうするのが正解なのか僕にもわからなかった。



「……ごめんなさい。本当は私、ほっとしているの。身近なケーキがいなくなって、やっと恐怖から解放されたんだって……。全部玉露に任せて、私は逃げてたんだから……玉露はよく頑張ったわよ」

「……うん」



 僕がフォークだと知ったとき、酷く動揺していた母さんを忘れられない。

 なんとか僕を加害者にしないよう、説明を繰り返してくれた。一緒に対策を考えて、僕と苹果ちゃんを守ろうとしてくれた。


 母さんはすでに苹果ちゃんがケーキだということを知っていて。

 あぁこの人も僕と同じなんだって本能で感じ取った。


 その結果がこの有り様。

 僕は最低だ。

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