口に甘いは腹に毒


「苹果ちゃんには、もう他に頼れる人ができたんでしょ? 私達はなるべく苹果ちゃんと関わらないようにして、そちらにあの子をお願いするしかないわ」

「そうだね」



 御鏡 那由多。短期間であれだけ苹果ちゃんの中へ入り込み、信頼を獲得している。

 フォークなのに、僕と全然違う。苹果ちゃんに全てをさらけ出してもなお、選ばれようとしていた。

 彼になら……苹果ちゃんを……。


 認めようとしたのと同時、否定したくなる。


 何やってるんだろ。

 矛盾ばっかだ。



 ──『玉露くん』


 と、僕の名前を呼ぶ彼女の声が好きだった。

 彼女は子供に無関心な親の元へ生まれてしまったから、家の近かった僕が一番構うこととなったわけなんだけど。

 これが見事に懐かれたのだ。

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