口に甘いは腹に毒

 アップルパイの味は、もうとっくに忘れている。

 サクッとした食感から得られるのは虚無のみ。

 物心ついたときからこうだから、慣れきってなんとも思わない。


 ただし、苹果ちゃんからもらったものなら話は変わる。

 苹果ちゃんが僕のために、僕のことを考えて買ってきてくれたアップルパイだけは、格別な味わいがした。



 苹果ちゃんが好き。

 苹果ちゃんだけが好き。


 苹果ちゃんの全部を汚してしまいたい。

 苹果ちゃんの全部を綺麗にしてあげたい。



 あまくてやわらかくていとおしい。

 禁断の果実。


 食べてしまったから、僕は罪人になった。

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