口に甘いは腹に毒
🍰🍰🍰🍰🍰🍰🍰🍰




 ……那由多先輩に連絡しなきゃ。


 起きて最初に浮かんだことだったのに、なかなか実行に移せない。

 ぼんやりと天井を眺める。


 一日、ほぼ寝て過ごしてクリスマスを迎えた。

 ご飯を食べた記憶すらない。

 こんな状態で那由多先輩に顔向けなんてできそうにないよね。



「っ……玉露くん、」



 名前を呼ぶだけで、姿を想像するだけで、胸がぎゅうっと苦しくなる。

 割り切って考えようって決めてたけど、やっぱりそんな簡単にはいかなかった。


 キスは、玉露くんにとってただの食事の一つ。

 だけどわたしにはそれ以上の感情があった……ということに、気付いちゃったんだよ。


 那由多先輩へ返事するために考えていた数日間を、全て上書きされてしまった。

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