口に甘いは腹に毒

 謝ったって何にもならないけど、それ以外に誠意の伝え方がわからない。



「本当に、すみま……」



 だからもう一度謝罪を述べようとしたところ、



『玉露と何かあったんだな?』



 見事に遮られた。

 相変わらず、なんでもお見通しだな。



『何かというか……まぁ、方向性はなんとなく想像できる』

「……はい」



 ふう、と息の吐く音が聞こえて。



『時間を変更だ。今からそっちに行く』


「……、……え!? ちょっ」



 待って──という言葉は届かず。

 気付けば画面に、通話の終了した証明が映し出されていた。


 ……うそ、どうしよう。

 直接話す心構えが済んでない。


 ぼーっとしてても意味ないから、とりあえず顔を洗って身だしなみだけでも整える。

 なんて話そう。

 玉露くんがフォークだったって……言ってもいいのかな。

< 191 / 233 >

この作品をシェア

pagetop